●NY紀行3 悪い券売機の話
成城大学の教え子の卯野さんに会った。

久しぶりのNYで当惑させられることが多かった。

卯野さんとタイ料理を食いにいくことにして、地下鉄をつかおうとしたら、トークンがにゃい。(注:トークンとは地下鉄の乗車コイン)オレが戸惑っていると、卯野さんが、
「トークンは、つい最近、廃止されて、今ではメトロカードで乗るんです」
と教えてくれた。

ふーん、そうなの。ならば、メトロカードとやらを買ってやろうじゃないの・・・などという安易な気持ちで地下鉄の駅に降りていったオレを悲劇が見舞った。

卯野さんが、
「10ドルのカードにしますか? 20ドルのカードにしますか?」
と訊くので、
「そんなにたくさん乗らないから10ドルのカードにしよう」
そういって、オレが20ドル札を入れると、驚いたことにお釣りがでないのだと。当然のことながら、20ドル札は戻ってきた。だが、オレが引っ張っても20ドル札は、そこにはさまったままで回収できない。

ま、いいや。オレは、20ドルの回収は後回しにして、とりあえず、10ドル札を挿入した。
すると、驚愕のシーンが・・・。

驚愕のシーン 機械がオレの20ドル札を吸い込んだ

「なんじゃあ。これはぁ!」
オレが驚いていると、卯野さんが、
「あ、20ドル札を引っ張り出さないうちに10ドル札を入れようとしたので、機械は、前の人の忘れ物だと判断して、回収したんですね」
と教えてくれた。アーメン。

ふたたびオレの額を冷たい汗が流れる。

オレは、後ろのブースにいるおじさんのところまで歩いていって、
「たった今、機械がオレの20ドル札を吸い込んでしまった」
と言って、お札を返してもらおうとした。すると、おじさん曰く、
「この書類に書いて市当局に郵送して手続きをしてくれ」

ま、この調子で、みんなのお札を吸い込んでいれば、市当局の収入も大変なものだろう。事情を知らない観光客は、みんな、10ドルや20ドルは吸い取られているわけだからな。ふ、こういうのを泥棒という。機械を設計した奴が大バカなのか、市の上層部にずる賢い奴がいて、新手の「税金」を考案したのか。

ところで、この話にはオチがある。

一部始終を目撃していた卯野さんが、最後にこう言ったのである。
「実は、大変、言いにくいのですが、先生にお会いする直前に目の前のごみ箱に20ドル札が張り付いていたんですよ」
「はぁ? そ、それで?」
「当然、剥がしましたよ」
「つまり、20ドル札を拾ったわけ?」
「はい」
「それはオレの20ドル札だな?」

もう、意味不明。失礼いたしました。

卯野さんとジャズ倶楽部に繰り出した。その名も「スモーク」。ああ、煙が目にしみるー・・・というのは過去のお話。NYはレストランや飲食店でも喫煙が全面禁止なので、煙草は吸えないんだよ。ふ。

ジャズ自体は、非常に非常によかった!余は満足じゃ。

ジャズに酔いしれてしまって、写真を撮るのを忘れました。

***

翌日はチェルシーの「チェルシー・ピアース」までゴルフの練習に行った。ハドソン川に向かっての打ちっぱなし。実に快適。ここはバスケットボールの室内コートなんかもあって、総合運動センターという趣。



150球を打って、へとへとになった。そのうち球に当たったのは・・・7割くらいかな?これで、帰国直後にコースに出るというのだから、われながら恐れ入る。

一汗かいたあと、ぶらぶらとチェルシーからグリニッジビレッジをかすめてリトルイタリーまで歩いた。



だが、二時間半の歩行の末、チャイナタウンにたどりついてみれば、なぜか殺伐とした雰囲気で「ゴーストタウン」みたいになっておる。なぜだ。

 

よくわからないが、目抜き通りの店が軒並み閉まっていて、シャッターは落書きだらけ。死んだ鯖(さば)みたいな目をしたおじさんたちが舗道にへたりこんでいる。うーむ。身の危険を感じる。ヤバイです。理由は不明のまま、即刻(ソッコウ)、タクシーを拾って「脱出」。

変だなぁ。

チャイナタウンの治安が悪くなっているなんて情報・・・あります?(他人に訊くなよ>自分)



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