猫はカガクに恋をする?

 猫好き科学作家が贈る カガクと恋愛の新感覚ファンタジー


解説

●第二章

・アンティキテラの機械 紀元前一五〇〜一〇〇年頃?

 アンティキテラの機械は、一九〇一年、ギリシャのアンティキテラ島沖の海底に沈んでいた難破船から発見されました。青銅製の機械で、発見された時にはバラバラの状態になっていました。およそ千年間の間、この機械の破片が何なのか、どうやったら組み立て直すことができるのか、誰にも完全には判りませんでした。(一九〇八年にはギリシャの博物館の学芸員、一九五一年にはデレック・デ・ソラ・プライスという人がこの機械の仕組みを分析しています。)最近になり、アテネ考古学博物館やイギリスのカーディフ大学などの研究チームがX線を用いて破片を詳細に分析し、コンピュータグラフィックスで元の姿を再現し、用途や仕組みをほぼ完全に推測しました。この成果は、英科学雑誌ネイチャー(二〇〇六年十一月号の五八七ページ)に発表されています。

 ただ、この復元CGを見る限り、これが設計書なしに造られたとは到底考えられません。その設計書は機械と共に船に積まれ、海の藻屑と消えたのか、はたまた、どこかの誰かが持っていってしまったのか……それは作者にもわかりません。

 アンティキテラの機械の教訓があります。それは、
「科学も含めた人間の文明は、常に上へ、上へと進歩してゆくわけではない」
 ということです。文明は退化したり沈滞することもあるのです。もちろん、高度な文明が滅んでしまうことだってあります。

 今、われわれが享受している現代文明だって、いつ、地球規模の天変地異によって滅びるか、わからないのです……。

・参考URL
http://fushigi.at.webry.info/200612/article_2.html
http://h50146.www5.hp.com/info/enewsletter/070118/onmove/
http://www.mizuho-ir.co.jp/meme/200302/2000.html


もどる