●NY紀行7 まとめと復習
あーあ、十年ぶりの「NYの休日」もおわりに近づいた。
ここらへんで、おじさんらしく「総括」といきましょう。(やだやだ、歳はとりたくないねぇ)

今回の滞在では、初日から三日目くらいまでは、あたふたしていて、自分でもどうしてしまったのかと焦りどおし。だが、四日目くらいから調子づいてきて、違和感がなくなった。十年のブランクがあったので、馴れるのに時間がかかったわけだ。

どのように「あたふた」していたかといえば、言葉がうまく出てこない・・・タイミングがずれてしまう・・・街の新しいシステムについていっていない、エトセトラ、エトセトラ。

せっかく調子が出てきたのに、もう帰らないといけないなんて、酷だぜ。
で、総括じゃ。


◆今回のNY訪問で「良かった」こと(もの)。英語では「Thumbs up」。

・グランドセントラルの近くのホテル(☆☆☆☆☆)
素晴らしいホテルじゃった。従業員も親切でプロ意識が徹底していて。ブラックアウトのときも、非常食を用意してくれたり、ジュースがなくなったら、手でフルーツを絞ってくれたり、厳しい条件のなかでお客さんに最善のサービスを提供してくれた。

繰り返しになるが、あまりにも素晴らしかったので、名前は教えないよ。どうしても知りたい人はメールで訊いてくれ!

ちなみに、このホテルの一階のシーフード(地中海?)レストランは抜群に美味しかった。おまけにホテルの屋上でも注文することができるのだ。あのパンナコッタ、ガスパチョ、薄切りステーキにキャラメル・バナナなんとか・・・うーん、絶品。舌がとろけた。

・コンチネンタル航空のビジネスファースト(☆☆☆☆)
ビジネスとファーストの中間というよりは、ファーストクラスのサービスをビジネスクラスの値段で提供している、というのが本当だろう。食事もいいし、シートも三段階のほかに微調整ができて、実にリラックスできる。十年前まで乗っていた和製航空会社とは大違いだぜ。あの会社は「乗せてやってる」という感じで、旅そのものが「拷問」に近かったが、今回は「天国」じゃ。珈琲がマグカップで飲めるのもグッド。ささやかな贅沢だね。

・五番街のカルティエ(☆☆☆☆)
観光客に席捲されている他の宝飾店とちがって、なぜか、いまだに品位をたもっていて、そのくせ、店員は奢ったところもなく、気持ち良く買い物ができる。なにを買ったかは内緒。

・セントラルパーク(☆☆☆☆)
この街の「理念」のようなものが、街の中心にある巨大な公園に集約されている。公園の周囲にたむろするアーティストの卵たちから、メトロポリタン美術館から、公園内のレストラン(「ボートハウス」)から・・・あらためてNYの良さを実感。

・リバーサイドのジャズクラブ「Smoke」(☆☆☆☆)
煙草の煙がなくなって、少し雰囲気は変わっているが、音楽の質は健在かな。


◆今回のNY訪問で「悪かった」こと(もの)。英語では「Thumbs DOWN」。

・メイシーズ(☆☆)
とても懐かしかったが、すでにデパートとしては終わっていた。ちょっぴり哀しかった。店員もダレていて、往年の高級デパートの面影はない。

・ティファニー(☆☆)
もっとショックだったのはティファニー。大好きな店のひとつだったが、Tシャツ、短パン、ビーサンの観光客が店内にひしめきあって、ガードマンたちが万引きを見張っているだけのハリボテと化していた。とても哀しい。

・ロイアルトン(ゼロ)
あこがれのロイアルトンは最悪のホテルだった。残念ながら星の数は「ゼロ」。「44」というレストランがガイドブックで褒めてあったので予約したのだった。ブラックアウトが重なったのは不幸だったが、近くのカサブランカホテルの一階のトニーというイタ飯屋は営業していたのに、なぜ、「44」はいい加減なビュッフェでごまかそうとしたのか。食材が手に入らないというのは言い訳にならない。他のホテルのレストランは手に入れているんだから。つまり、ダメダメということだ。しかも、到着時に、なんの説明もなし。代わりのレストランも紹介せず。三流ホテルに騙されたという感触しか残らなかった。哀しい。

・メトロポリタン美術館のペトリー・コート・カフェ(☆)
観光客相手にやっているせいか、ふにゃふにゃした歩き方でやる気のないマネージャーとウェイターの砦と化している。オムレツを頼んだら厚焼き卵がでてくるんだからさ。ずぇーったいに入ってはいけない。美術館はバッジさえつけていれば何回でも出入りできるので、咽が乾いたりお腹が減ったときは、道路一本隔てたレストランにでもゆくべし。


◆十年ぶりのNYで感じたこと

やはり、オレにとって、NYは「第二の故郷」だ。

しょっぱなは英語の勘が戻らなくて焦ったが、次第に慣れてきて、携帯電話を駆使して動き始めた頃からリラックスできるようになった。それにしても、移民の数が激増して、まともな英語をしゃべる輩がほとんどいなかったのはショックだった。おそらく、大学の構内にでも立ち入ってみれば、論理的な美しい会話が聞かれたのだろうが(笑)
 
猛烈な勢いで元気一杯に働いている韓国系の移民には頭が下がる思いだった。このエネルギー、日本人がとっくのむかしに失ってしまった「生きるための原点」という感じがした。ちょっぴり反省。

「パンナム」ビルが「メットライフ」(生保?)に変わっていたのには時代の流れを感じた。

タクシーの運ちゃんから出店のおやじまで、ことあらば「ふんだくってやろう」という魂胆が見え見えで愉しかった。

美術館の出店のおやじなんか、オレが5ドル札を手渡すと、2ドルしか釣りを返さねえでやんの。本当は釣りは3ドルだけどな。だが、インド系とおぼしきおやじの顔の皴を勘定して、文句は言わないことにした。

この街は、よくもわるくも「金次第」だ。
それを笑い飛ばすことができないと、この街には住めないよな。

東京は色が・・・明度と彩度が低いのが特徴で、全体が「くすんでいる」のに対して、NYは、明度と彩度が高くて、オレ好み。

人間の質もバラつきが大きくて、均一化されている東京とは正反対だ。うーん、なんだかうまく書けないのだが、思いきり、

「I LOVE NY!」

と叫びたい心境。

この街を悪く言ったり、破壊したりする奴は、このオレ様が許さねえ。文句ある奴ァ、表に出ろ!特に、自分の娘をNYに住まわせておいて、そのくせ大衆波長に乗っかるためにNYの悪口ばっか言ってる有名人のじじい、今度会ったら、盛り上がった白髪頭ァ、ぺんぺん叩いてやるからな(笑)

「好きやねん、大阪」
と同じで、アクの強いところが好きさ、ニューヨーク。

ふ、マイレージが10万マイルもたまっているので、また、すぐに行きたくなってしまうぜ。次回は、本格的に小説の舞台にでもつかわせてもらおうか?

(おわり)


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