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エンジョイ読書 目利きが選ぶ今週の3冊 |
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脳のなかの水分子
中田力著
★★★
意識をめぐる「大仮説」の書。著者は、全身麻酔のメカニズムの謎を皮切りに、水と熱力学と複雑性をキーワードとして、意識の謎へと迫る。危ないが面白い!
(紀伊国屋書店・1600円)
他人を許せないサル
正高信男著
★★★
携帯電話やインターネットに「つながれて」、中毒みたいになってしまったことはありませんか? やめたいのにやめられない。現代人の深層心理を鋭くえぐる本。
(講談社ブルーバックス・780円)
動物に愛はあるか(1)(2)
モーリス・バートン著
★★★★
動物に愛はあるか? 自称「猫好き科学作家」の私としては、「あるに決まってるだろ!」と主張したいところだが、科学的な真相はいかに?
そんな素朴な疑問に具体的なエピソードの数々で答えてくれるのが本書だ。初版が1978年なので、必ずしも最先端の研究とはいえないが、内容は決して古くない。
著者は(救助行動・保護行動・配慮行動といった)「高次行動」に焦点をあて、動物の行動が、遺伝子を次世代に残すためにあらかじめプログラムされた行動パターン、もしくはその延長にあるものなのか、「真の意味での利他行動」=「思いやり」なのかを、科学的に検証してゆく。
とはいえ、その作業は、決して簡単ではない。新聞などで騒がれる「イルカが人を救助した」などという美談が、大元を辿ってゆくと、実は動物の本能による行動が「救助」と誤解されたものであったりするからだ。
私のお気に入りの逸話は、レイヨウがヌーを水場まで「案内」してやっている場面だ。動物は種を超えて仲間になることが可能なのだ。
殺伐たる現代人の心を温めてくれる一冊である。垂水雄二訳。
(ハヤカワ文庫・各740円)
(日本経済新聞 2006年9月20日掲載)
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