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エンジョイ読書 目利きが選ぶ今週の3冊 |
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失われた発見
ディック・テレシ著
★★★★
コロンブスがアメリカを発見したのではないように、科学も西洋が起源とは限らない。古代文明にスポットを当てた科学史はユーモアも効いて読みごたえたっぷり。林大訳。(大月書店・3800円)
哲学思考トレーニング
伊勢田哲治著
★★★
飛行機事故、今西進化論、地球温暖化といった身近な例で「考える方法」を伝授。むしろ哲学者でない人に読んでもらいたい本だ。良い意味で難しいので頭の体操になる!(ちくま新書・780円)
ウナギのふしぎ
リチャード・シュヴァイド著
★★★★
今日は土用の丑の日。食卓にウナギが上るご家庭も多いのでは? ところで、そのウナギ、どこで生まれ、どこで育ったかご存知か。
ウナギの一生は未だ深いベールに包まれ、謎が解明されたとは言い難い。バミューダ海域かマリアナ海域のどこかで産卵し孵化するらしいが、証拠がみつからない。大洋のど真ん中で体長一センチ以下の稚魚を探さなければならないからだ。また、ウナギは海から川を上って、そこで長い年月を過ごすが、生まれ故郷を目指す鮭とは違い、遡上する川をどうやって選択しているのかも謎だ。
研究者の言葉を借りれば、「アトランティス大陸の生き残りなんじゃないか」、「研究をすればするほど別の星からきたエイリアンに思えてくる」ということになる。
巻末には訳者がニホンのウナギの最新知識をまとめてくれているし、ウナギを生業とする人々のユニークな暮らしぶりやウナギのレシピまで、ウナギに関する蘊蓄が満載の書。
わが家の今日の夕食もウナギの蒲焼きだ。謎の海域で産まれ、何年もかけて川まで旅して、最後は私の腹におさまる。実に不思議だ。梶山あゆみ訳。(竹内薫)
(日本経済新聞社・1800円)
(日本経済新聞 2005年7月28日掲載)
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