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エンジョイ読書 目利きが選ぶ今週の3冊 |
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ヒトはなぜするのか
ナイルズ・エルドリッチ著 ★★★
人は遺伝子を残すためだけにセックスをするのか?そんな馬鹿な!と著者は語る。「利己的な遺伝子」の考え方に一騎打ちをいどむ好著。野中香方子訳。(講談社インターナショナル・1600円)
アインシュタイン・ショックI
金子務著
★★★★
アインシュタインは日本訪問で何を思ったのか。第三回サントリー学芸賞受賞作が装い新たに文庫で復活。巻末には九州講演が追加されている。実におトクな一冊だ。(岩波現代文庫・1300円)
SYNC(シンク) スティーブン・ストロガッツ著
★★★★
<心をもたない小さな振動子>
蛍の光の明滅と月のうさぎと心臓の鼓動に共通するものはなんだろう?それは「シンク」、すなわち「同期現象」なのだそうだ。
無数の蛍の光がシンクし、月の自転は公転とシンクし、心臓のペースメーカー細胞もシンクする。
著者は驚くべき比喩の達人だ。なにしろ、シンク現象を説明するのに「1万個のつながったトイレ・タンク」をもちだすのである。
満杯になると流れるトイレ・タンクを1万個つないでみる。すると、そこには一定のリズムが生まれ、やがて、すべてのタンクがシンクする。
それは指揮者のいないオーケストラが見事な演奏をしてみせるようなものだ。
著者のストロガッツは数学者で、弟子のワッツとの共同研究でも有名だ。地球上の誰とでも6人の仲介者があれば連絡がとれるのはなぜだろう?著者たちによれば、それは人類のネットワークが「小さな世界」になっているからにほかならない。完全にランダムでもなく完全に規則正しくもない不思議なつながり。
世間は狭いことが数学的にも証明されているらしい。藤本由紀監修、長尾力訳。
(早川書房・2200円)
(日本経済新聞2005年4月7日 掲載)
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